探偵という職業は、表舞台に立つことの少ない「裏方」の仕事でありながら、人の人生に深く関わる重要な役割を担っております。不倫調査や所在調査、信用調査など、その多くは人の疑念や不安、時には怒りや悲しみといった感情と隣り合わせの仕事です。だからこそ、探偵にとっての“正義”とは単なる法の遵守や真実の追及だけでなく、「依頼者にとって本当に必要な真実を、誠実に届けること」にあると言えます。
法律を守るのは当然ですが、探偵が正義を貫くためには、情報の扱いに対する倫理観や、依頼者の心情への深い理解が必要です。ただ単に証拠を取ることが目的ではなく、それによって依頼者の人生がどう変わるのか、どんな選択肢が生まれるのかを常に想像しながら行動する。それが探偵としての責任であり、正義の第一歩であると考えております。
一方で、探偵の活動は時にグレーゾーンに差し掛かることもあります。例えば、違法行為ギリギリの調査方法や、依頼者の感情に乗せられて偏った視点に立ってしまうリスク。だからこそ探偵は、自分自身の中に「揺るぎない軸」を持っていなければなりません。正義とは、依頼者に都合の良い結果を届けることではなく、公平かつ冷静に事実を見つめ、それを正しく伝える勇気を持つことに他なりません。
探偵が追い求めるべき正義とは、依頼者の心の拠り所となり、人生の岐路に立つ人が前を向けるよう、見えない力で支えること。感情に流されず、しかし人としての温かさを忘れずに、誠実に調査を遂行することこそが重要であると考えております。
